Essay

【エッセイ】心の深呼吸

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心の深呼吸

今、世界は実体のないウイルスの脅威に怯えている。只々静かに、じわりじわりと私たちの日常を脅かしている状況に、どこか人々の表情も不安気だし苛立っているようにも見える。「危機感」は人それぞれで違って当たり前で、どのレベルでいけばその個々の「危機感」の度合いが引き上がるのかも、コントロールするのは難しい。いくら国が法整備を整えてげ移出自粛やその他の制限を強化しても、最終的に決断し行動するのは個人の意思によるのだ。

「あの人咳き込んでいるのにマスクしていない!」、「こんな時なのに家族総出でショッピングモールにいた!」と他人の一挙手一投足が目に付くストレスフルな世の中になってしまっていて、なんだか心がとげとげしい自分に疲弊していることに気付いた。

年齢や職業、世帯の状況によってウイルスに対する防御策にも個々の差が出てくる。でもひとまず、マスクや消毒液のかき集めに必死になるよりも先に、困難な状況を前にしてどれだけ心を落ち着かせて周囲の人に思いやりを持てるかどうかだ。

これから急ピッチで整備化されていく法律も、どうか困っている人の心に寄り添うレールの上からは外れないで欲しい。そして、どんな立場の人も、世界全体が大変な時だからこそ、何か発言したり行動したりする前に、「ふぅ~」と心の深呼吸をして欲しい。

家にこもりきりになって気分が晴れない時は、窓辺にテーブルを移して換気がてら外の景色を見ながらランチを食べてみるのもいい。窓を開けても隣の家しか見えないのなら、テレビやパソコンの画面におしゃれな景色を映して眺めながらコーヒーを飲んでみてもいい。何かにさし迫られた時こそ、人間の知恵と工夫の出番だ。

ちなみに私は、在宅時間が増えたのをいいことに、大好きな俳優が出ている映画を全部観返して楽しんでいる。日々の仕事や家事に追われて1本の映画でさえ分割して観ていた頃より、皮肉なことに趣味の時間だけはかなり充実してしまっているのだ(笑)。自由が利かなくなった部分もあるけれど、代わりに充実したものがあるなんて、こんな時にありがたいことだ。飼っている猫だって、主人に撫でてもらう時間が増えて幸せそうだ。

小さな思いやりと幸せを見つけてみよう。外出する機会を効率的に減らせば、買い溜めしようとしているものを一つでも商品棚に戻せば、自分が知らない地域で実際に感染し入院している人に必要なものが行き渡るかもしれない。そうなったら、ちょっとした我慢で救える命が出てくるかもしれない。それってかなり凄いことで、素晴らしいことで、とても優しく幸せなことだ。

そうできた自分を褒め称えることも忘れずに。大袈裟でも、「いいことした!自分えらい!苦しんでいる人を思いやることができるなんて、私はなんて最高なの!」と鼻を高々に褒めてあげよう。少々周囲からはウザがられるかもしれないが、「人に優しくできない」ことより何百倍もマシ

さぁ、遠くの誰かを幸せにするための知恵くらべといこうじゃないか。5年後、10年後に「あの時ああいう自分で良かった。」と思えるかどうかは、国でも法律でもなく、自分次第だ。

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