2014年に公開された映画【イミテーション・ゲーム -エニグマと天才数学者の秘密-】。ベネディクト・カンバーバッチ主演で、解読不可能と言われたナチス・ドイツ軍の暗号機「エニグマ」の解読に立ち向かうアラン・チューリングの人生を描いた感動作。今回は映画【イミテーション・ゲーム -エニグマと天才数学者の秘密-】キャストやあらすじ、動画配信情報など見どころをたっぷり紹介していきます！
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映画【イミテーション・ゲーム -エニグマと天才数学者の秘密-】の作品概要
- 原題｜『The Imitation Game』
- 公開｜2014年（日本：2015年）
- 監督｜モルテン・ティルドゥム
- 製作総指揮｜グレアム・ムーア
- キャスト｜ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、マーク・ストロング、チャールズ・ダンス他
- 受賞｜2015年第80回アカデミー賞脚色賞など
映画【イミテーション・ゲーム -エニグマと天才数学者の秘密-】のあらすじ
イミテーション・ゲーム／エニグマと天才数学者の秘密(吹替版)
物語は、アラン・チューリング（ベネディクト・カンバーバッチ）という数学者の家に空き巣が入り、ノック刑事がチューリングの家に捜査に訪れるところから始まります。チューリングはかつて第二次世界大戦時、イギリス政府の暗号学校が置かれたブレッチリーパークで働いていた並外れた天才数学者でした。そこで彼が挑んでいたのは、ナチス・ドイツ軍で使用されていた暗号機“エニグマ”の解読。昔から孤立しがちだった彼は暗号解読チームのメンバーとも協調できずにいました。しかし、聡明なジョーン・クラーク（キーラ・ナイトレイ）との出会いがきっかけで仲間と徐々に信頼関係を築き、エニグマの解読に向けて大きな挑戦をすることになります。チューリングたちは果たしてエニグマを解読できるのか。彼が辿った輝かしくも切なく、悲しい運命とは…？イギリス政府が50年もの間隠し続けていた真実をもとにした歴史ドラマです。
映画【イミテーション・ゲーム -エニグマと天才数学者の秘密-】の主な登場人物・キャスト・吹替声優
- アラン・チューリング・・・ベネディクト・カンバーバッチ（三上哲）
- ジョーン・クラーク・・・キーラ・ナイトレイ（佐古真弓）
- ヒュー・アレグザンダー・・・マシュー・グッド（福田賢二）
- ロバート・ノック刑事・・・ロリー・キニア（こねり翔）
- ジョン・ケアンクロス・・・アレン・リーチ（中林俊史）
- ピーター・ヒルトン・・・マシュー・ビアード（入倉敬介）
- アラステア・デニストン中佐・・・チャールズ・ダンス（有本欽隆）
- スチュアート・ミンギス少将・・・マーク・ストロング（てらそままさき）
- ジャック・ゴールド・・・ジェームズ・ノースコート
- スタール巡査部長・・・トム・グッドマン＝ヒル（佐々木薫）
- スミス警視・・・スティーヴン・ウォディントン（土屋直人）
- キース・ファーマン・・・イラン・グッドマン（佐治和也）
- 若き日のチューリング・・・アレックス・ロウザー（英語版）
- クリストファー・モーコム・・・ジャック・バノン（中尾智）
- ヘレン・・・タペンス・ミドルトン（内野恵理子）
- ウィリアム・ケンプ・ロウサー・クラーク・・・デイヴィッド・チャーカム
- ドロシー・クラーク・・・ヴィクトリア・ウィックス
映画【イミテーション・ゲーム -エニグマと天才数学者の秘密-】の動画配信情報
※一部レンタル・購入の場合あり。
※2022年10月時点の情報です。最新の配信情報は各VODサービスにてご確認下さい。
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映画【イミテーション・ゲーム -エニグマと天才数学者の秘密-】舞台は第二次世界大戦時のイギリス
ヒトラー率いるドイツ軍のヨーロッパ制圧への勢い
この作品の舞台となっているのは、主に第二次世界大戦時のイギリスです。1939年、イギリスはドイツに対して宣戦を布告。ヨーロッパ全土へ侵攻を強めるナチス・ドイツ軍の勢いは圧倒的で、イギリス軍も非常に苦戦を強いられていました。第二次世界大戦時のイギリスの首相、チャーチルが最も恐れていたと言われるのがドイツ軍有する“Uボート”の存在。第一次世界大戦でも華々しく活躍していたドイツが誇る潜水艦で、神出鬼没な無警告攻撃により、イギリス軍の水上艦のみならず商船にもその攻撃が及んでいたのです。
当時のイギリスの立ち位置
当時イギリスは、首相がチェンバレンからチャーチルに代わり対ドイツに対しての政策姿勢が大きく変化していました。ヒトラー率いるナチス・ドイツ軍の勢力拡大をある程度認め、平和維持を図ろうとしたチェンバレン首相の宥和政策は、結果的に世界を震撼させる第二次世界大戦へのきっかけとなり、チェンバレンは失脚。代わって宥和政策に反対し続けていたウィンストン・チャーチルがイギリスの戦時内閣を指揮することになります。
映画【イミテーション・ゲーム -エニグマと天才数学者の秘密-】の見どころ
実在したアラン・チューリングという男
天才すぎる数学者
この映画の主人公、“アラン・チューリング”を皆さんはご存知でしたか？彼はイギリスの天才数学者で、当時ドイツが誇っていた暗号機“エニグマ”の解読成功への貢献、そして私たちが今当たり前のように使っているコンピューターの構造理論を初めて概念化した人物として有名です。寄宿学校時代、唯一の親友だったクリストファー・モーコムの影響で「暗号」の世界にのめり込み、1938年には自らブレッチリーパークの暗号学校で働くことを志願します。
孤立しがちだった性格
チューリングは幼少の頃から科学・数学に対し非凡な才能を発揮していましたが、性格的には協調性に欠け集団生活などには向いておらず、変わり者として見られ孤立しがちでした。寄宿学校時代もいじめに遭うなど不遇な時間を過ごしましたが、その時にクリストファー・モーコムという少年に出会います。チューリングにとって彼は唯一の親友であり、同性ながら初恋の相手でした。しかしモーコムは結核で亡くなってしまい、チューリングの心に再び孤独の影を落とします。
イギリス政府の秘密作戦
ナチス・ドイツで使われていた暗号機“エニグマ”
エニグマは、主に第二次世界大戦時にナチス・ドイツが使用していた電気機械式の暗号機のことです。あらゆる軍事的通信はこのエニグマを用いて行われ、ナチス・ドイツ軍の奇襲攻撃の支えとなっていました。このエニグマは改良が重ねられるたびに構造、設定、暗号そのものも複雑化し、イギリスだけでなく他国も解読に大変苦戦していたのです。
エニグマの解読作戦
イギリス政府によって設立されたブレッチリーパーク内の暗号解読学校にて、いよいよチューリングをはじめとしたエニグマの解読チームが結成されます。ヒュー・アレグザンダー（マシュー・グッド）、ジョン・ケアンクロス（アレン・リーチ）らイギリス屈指の学者や研究者たちが集められ、難攻不落と言われたエニグマの解読に挑むのです。作品の中でも描かれていますが、エニグマで使われていた暗号は日替わり。ある時間を過ぎるとまたゼロから解読をやり直さなければならず、決して一筋縄ではいかず、チューリングたちもかなり苦戦を強いられます。
アラン・チューリングと仲間との絆
徐々に築いていく信頼関係
チューリングは前述した通り若い頃から周囲との人間関係を築くのが得意ではありませんでした。ブレッチリーパークでエニグマの解読に挑んだチームのメンバーとも、最初は上手くコミュニケーションが取れません。チューリングは自分のやり方に絶対的な自信を持ち、必ずやり遂げるつもりでいました。エニグマが吐き出す何千もの暗号に人間の脳だけで対抗するのではなく、エニグマに匹敵する解読“マシン”を作ることに没頭します。ヒューやケアンクロスが歩み寄ろうとしても、自分を曲げないチューリングの姿勢に苛立ちを募らせます。しかしチューリングの並外れた天才的な才能と暗号解読への強い情熱に彼らは徐々に理解を示し、後述するジョーン・クラーク（キーラ・ナイトレイ）という女性がチューリングと彼らの間でうまくコミュニケーションを助けていたこともあって、少しずつチームの絆が芽生えていくのです。
ジョーン・クラークとの出会い
キーラ・ナイトレイが演じていたジョーン・クラークという女性。不器用なチューリングの良き理解者で、とても聡明な人物でした。当初エニグマの解読チームにいたメンバーの後任を探すためにチューリングが用意したテストに合格したことをきっかけに出会った彼女は、その後も彼の暗号解読に向けての道のりを支え続けます。
イギリス政府が50年隠し続けた真実
エニグマの解読とその後
やっとの思いでエニグマの解読に成功したチューリングたちでしたが、本当の苦しみは解読したその後に待っていました。エニグマの暗号が解読できたからといってドイツ軍の攻撃全てに反応していては、解読できたことが気付かれエニグマの設定が再び変更されてしまいます。チューリングはMI6（イギリスにおける国外の秘密情報を扱う機関）のスチュアート・ミンギス（マーク・ストロング）と協力し、終戦までイギリス以外の国やイギリスの軍部へ流す情報までも選別し、連合軍が行った多くの軍事作戦を支え続けました。しかしこれだけの功績を残しても、そもそもチューリングたちの任務自体が国家機密。その後のチューリングの人生も含めて、政府はこの事実を50年もの間隠し続けていました。
アラン・チューリングの悲しい運命
チューリングはずっと悩み続け、自分に問い続けていました。暗号の魅力に取りつかれて以来、多くの時間と労力を費やして自分の研究を続け、ついには難攻不落と言われたエニグマの解読にも成功しました。しかし自身が抱える心の奥底にある孤独が埋まることはなかったのです。同性愛者であることも含め、いつのまにか神のように人の生死を決める自分に対しても「僕は果たして何者なのか」という自問に苦しみ続けるのです。最後のシーンで、ジョーン・クラーク（キーラ・ナイトレイ）の前で「僕を一人にしないでくれ」とチューリングが涙する場面があります。ブレッチリーパークを去ったしばらく後に同性愛の罪でマンチェスターの警察に逮捕され、裁判で有罪に。刑務所に入るか女性ホルモン投与による同性愛の矯正を受け入れるか判事に聞かれ、彼は後者を選ぶのです。全ては彼が研究を重ねてきたマシン、“クリストファー”を取り上げられたくないというチューリングの悲痛な願いのためでした。
繊細な心理描写を見事に演じたベネディクト・カンバーバッチ
この作品はなんといっても主演のベネディクト・カンバーバッチの演技が見事です。ガラス細工のように繊細なチューリングの心情が痛いほど伝わってきて、その演技力に引き込まれました。チューリングの性格、人間性の細かい表現はもちろん、類まれな才能の裏に抱えていた孤独を観る人々に強く印象づけました。カンバーバッチがチューリングに対して深い理解と尊敬の念をもってこの役に挑んだことがうかがえます。
映画【イミテーション・ゲーム -エニグマと天才数学者の秘密-】チューリングが解きたかったもの
アラン・チューリングという人物について、エニグマ暗号機の解読成功に貢献した人物だということは知っていましたが、彼の人生そのものやイギリス政府が50年もの間隠し続けてきた真実については知らず、驚きました。チューリングがずっと探し求めていたものは、人間の心を解く鍵だったのかもしれません。エニグマの解読を目指しながら、マシンの可能性を絶対的に信じ抜いたチューリングの姿勢には、ある種の「意地」のようなものを感じずにはいられませんでした。一つ一つの部品、回路、構造、設定それぞれを紐解き、また構築していく中で、彼は自分の心の奥底にある孤独と必死に向き合っていたのではないでしょうか。